ヘナチョコ夫とわたし

メンタル最弱な夫とそれを支える妻の波乱爆笑の記録

            

② 黒い犬を受け入れる

メンタル最弱の旦那くんを支えると決めてから、

 

根気よく、前向きな言葉をしつこく伝えていくことを続けていた私

 

でも、時に、それはやっぱり、旦那くんの気に障ることも。

 

 

「わかってる!」

「もういい!」

 

 

あ、ちょっと怒らせたな、と思ったら、

ちょっと身をひいて、距離をおいて・・・の繰り返しだった。

 

それだけだったらよかったけど、

ある朝、事件はおきた。

 

出勤前の支度をしながら、

学校に行きたくない行きたくない行きたくない気持ちを抱えた旦那くんの口から、

 

「お金を稼がないといけないから、働いているだけ」

「家族を養わないといけないから、お金が必要だから」

 

と発せられたとき、

なにか、私が旦那くんを苦しめているのかもしれないと思った

そう思ってもしょうがないんだけど、

なんか私が重荷になっているような、そんな感じ

 

当時、私は妊娠・出産を経て、当時生後2か月の赤ん坊を抱える母親。

前の仕事は臨時的採用の講師だったため、育休・産休などの制度が適用されず、退職するしかなかった。

子どもがもう少し大きくなるまで、せめて1歳になっておっぱいを飲まなくてもよくなるくらいまでは一緒にいて、家で育ててあげたいと思っていたから、

旦那くんの稼ぎなしには、私たち家族はやっていけないと思われる状況だった。

 

だから、

苦しいのに辞められない

 

そんな逃げ場のない苦しい状況が旦那くんを追いつめていたんだと思う。

 

 

でも、養ってもらっている妻の私から言うのも、なんだけども、

逃げてほしくなかった。

 

誤解されないために言わせてもらいたいのは、

逃げることも勇気がいること。

時にその場から逃げることも全く悪いことじゃないと私は思ってる。

だから、小学校教師を辞めて、べつの仕事を探すのだって全然アリだった。

でも、うちの旦那くんの場合、

いったん、そうやって逃げたら、逃げたことを絶対後悔するんじゃないかと思った。

逃げたことを後悔して、また自分を責めて、また何かから逃げようと苦しむ・・・

それじゃ旦那くんの笑顔は戻ってこない!

だから、逃げずに旦那くんと一緒に闘うことを決意したのに、

 

(お前らがいるから、やめられないんだろうが!)とでも言いたげな

(言われてないけどw)

 

ぐっとこらえて聞いていたけど、

息を吸ったその次の瞬間、

 

 

やめればどう?

辞めればいいでしょ!!!!!

 

っと、気がついたら大声でどなってた。

 

「俺が辞めたらどうやって生活していくんや」

 

ぼそっと小声でつぶやいた旦那くんに、

 

 

あんたが辞めてもどうにだってなるわ

私が外に働きに出るわ

金のため、金のためって

学級の子どもたちがかわいそうやわ!

 

 

と、マシンガンのように出てくる出てくる・・・

自分が一番びっくり

 

 

そのあと、旦那くんは黙って家を出て車に乗り、学校に出勤した。

その日、一日、私はずっと(しまった…言い過ぎた…)と後悔して、

どんな顔で帰宅するのか気が気じゃなくて、

もしかしたら、離婚を突き付けられるかもしれないとまで思って、

そわそわして落ち着かない。

 

結局、「おかえり」に返ってきた旦那くんの反応は、

ごく普通の「ただいま」で、

朝の大喧嘩がなかったことみたい。

 

次の日は、ふつうに出勤。

その次の日も、ふつうに出勤。

むしろ、どこか吹っ切れてちょっとだけ明るくなったようにも見える。

 

 

・・・たまには、ムチも効果アリ?(笑)

 

 

 

でも、この日から、私は考え方を変えた。

旦那くんの言うことを、真正面からは受けないようにした。

だって、真正面からすべてを受け入れていては、私の精神がもたない。

私が頑張って支えようとすればするほど、旦那くんの姿を心配すればするほど、

旦那くんの情けない姿に落ち込んだり、絶望したりしてしまう。

 

だから、今の旦那くんの為すことはすべて、旦那くんを乗っ取っている黒い犬の仕業だと思うようにした。

 

昔、うつ病のことを調べていたときに耳にした話。

本当はそう思っていないのに、時に人を傷つけることを言ったり、

本当は外に出て明るくコミュニケーションをとりたいのに、思うように体が動かない。

それはすべて、うつ病という黒い犬の仕業

 

だから、本来の旦那くんではないんだと、すべて旦那くんの後ろに隠れている黒い犬の仕業なんだと、思いこむことにした。

 

この日から、旦那くんと一緒にその黒い犬を受け入れる日々が始まった。

排除しようとするのではなくて、受け入れることが大事らしい。

そして、いつか、黒い犬の存在をも忘れてしまう日が来ると信じて…

 

 

大丈夫。大丈夫。

 

ゆっくりゆっくり歩いていこう。

私も一緒に歩くから。